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□ 旅する音楽 日本編 1 2

南正人
『回帰線』(1971)
リアル・トラヴェラーでもあるシンガーソングライター。30数年ものあいだ年間100本以上のライヴをこなしながら旅を続けているとか。「こんなに遠くまで」や「悲しみ忘れた悲しさに」といったせつない旋律が、僕らの旅を演出してくれる。

タージ・マハル旅行団
『JULY 15, 1972』(1972)
実際に世界旅行をしながら演奏していた前衛音楽集団。その名の通りインドのタージ・マハル前でも即興演奏した経験を持つ。その音楽はもはや形を成さない陽炎のようなドローン・サウンド。行く先はインドか、エジプトか、はたまた宇宙か?

寺田十三夫
『信天翁』(1972)
アメリカMGMレーベルに見初められてデビューした早過ぎた天才シンガーソングライター。70年代初頭にここまで完成度の高いアルバムを作ってしまったのは驚異的。僕らもグルーヴィーなリズムに乗って「旅に出よう」じゃないか。

嘉手苅林昌
『琉球情歌行』(1974)
沖縄音楽は癒し系だなんてとんでもない。もちろんそういうしっとりしたのも良いけど、この渋みの効いた歌声にかの地の歴史の重みも感じつつ拝聴。彼の歌声は、民謡といった枠を飛び越え、世界一級のソウル・ミュージックへと昇華。

サディスティック・ミカ・バンド
『黒船』(1974)
クリス・トーマスのプロデュースによる、ペリーの来航をテーマにしたエキゾチック・ジャパンな歴史的名盤。オリエンタルなメロディと、フュージョン時代の到来を予期させる凝りまくったリズム。ファンクやR&Rに身を委ね、タイムマシンでひとっ飛び。

山本邦山
『竹の組曲』(1975)
日本の伝統楽器の代表である尺八。この人間国宝による異種格闘技的セッションをサポートするのは、前田憲男、荒川康男、猪俣猛といったジャズ・シーンの猛者。エリック・ドルフィーを思わせる異様な緊張感は、もはや日本であることすら放棄する。

細野晴臣
『泰安洋行』(1976)
海外旅行を“洋行”と呼んでいたあの頃へ。蝶々夫人に導かれ、香港の中華飯店から一気にニュー・オーリンズ、そしてポンポン蒸気に乗って帰路につく。エキゾ趣味を通り越して、これぞ史上最高のインチキ世界音楽(もちろん最大の褒め言葉)。

南佳孝
『SOUTH OF THE BORDER』(1978)
池田満寿夫の版画ジャケットが、リゾート心をくすぐるAORの名盤。全体を覆うソフトなラテン・タッチが、ラグジュアリーな世界を演出。「夜間飛行」、「スフィンクスの夢」、そして「日付変更線」といったタイトルだけで、十分に異国への憧憬をかきたてられる。

大貫妙子
『ROMANTIQUE』(1980)
フランスはパリの片隅にある小さなアパートで暮らす貧乏芸術家。そんな彼らがキャフェーに集い芸術論を交わしていた古き良き時代。大貫さんの優しく澄んた歌声で綴るロマンティークな物語は、もう戻れないあの頃の情景の儚い残滓。

佐野元春
『VISITORS』(1984)
ニューヨークのストリート・カルチャーをいち早く日本のロックに取り入れた記念碑。人気絶頂期に活動を凍結し、単身乗り込んでいった先で拾い上げたものは、孤独感に包まれたナイーヴな世界。日本のヒップ・ホップの原点ここにあり。
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